「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」の違いは?意味や使い方を例文付きで解説!

「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」――どれも「とらわれる」と読む言葉ですが、意味や使い方に違いがあるのをご存じでしょうか?

「どの漢字を使えばいいのか迷う」「文章に書いたときに違和感がないか心配」など、同音異義語ならではの悩みを抱える方も多いはずです。

この記事では、以下のような疑問を解決します:

  • 3語の意味と違いがひと目で分かる比較表
  • それぞれの使い方と例文
  • 誤用を避けるポイントや判断のコツ

迷いやすい表現だからこそ、正しい理解が文章力アップにつながります。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」の違いは?

「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」は、すべて「とらわれる」と読む同音異義語です。

しかし、それぞれの意味や使い方には微妙な違いがあり、正しく使い分けることが求められます。

最初に3語の違いをざっくりと把握し、後の理解を深めるための土台を築いていきましょう。

まず結論!3語の使い分けの概要

「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」の3語は、いずれも“何かに拘束されて自由を失う”という点で共通していますが、拘束の種類やニュアンスが大きく異なります。

表現 意味の特徴 用いられる文脈 例文
捕らわれる 物理的・身体的な拘束 警察、戦争、犯罪 逃走犯が警察に捕らわれた。
捉われる 心理的・思考的な拘束 固定観念、感情、考え 過去の失敗に捉われて前に進めない。
囚われる 精神的・感情的に支配される様子 恐怖、愛、欲望など 恐れに囚われて動けなくなった。

これらの使い分けを押さえることで、文章の精度や説得力が大きく向上します。

特にビジネスや教育の現場では、微妙な言葉選びが重要です。

「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」の読み方は共通

「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」は、いずれも読み方は「とらわれる」であり、音だけでは区別がつきません。

そのため、漢字による意味の違いをしっかり理解して使い分ける必要があります。

  • 「捕らわれる」:動詞「捕らえる」から派生。捕まえる、つかまるという意味。
  • 「捉われる」:動詞「捉える」から派生。考えや感情にとらわれる。
  • 「囚われる」:名詞「囚人」にも使われる「囚」。精神的な囚われ。

英語での違いも確認してみましょう:

日本語 英語表現例
捕らわれる be captured, be arrested
捉われる be fixated on, be obsessed with
囚われる be imprisoned (figuratively), be trapped emotionally

このように、英語でもニュアンスは異なり、それぞれ適切な訳語があります。
日常会話でも文章表現でも、相手に正確な意味を伝えるためには、漢字の選び方が大切です。

「捕らわれる」の意味と使い方

「捕らわれる」は、誰かに身体的に拘束されたり、自由を奪われたりする状況を表す言葉です。

警察に捕まる、敵に拘束されるなど、比較的現実的・物理的な状況に使われます。

特に、「捕まる」という具体的行為と密接に関係しています。

ここでは語源や使い方、例文、誤用について詳しく解説していきます。

「捕らえる」の語源と意味

「捕らわれる」は、「捕らえる(とらえる)」という動詞から派生した受動形の表現です。

「捕らえる」は古語「とらふ(捉ふ・捕らふ)」に由来し、以下のような意味があります。

  • 手や網などでつかまえる(例:魚を捕らえる)
  • 逃げる者を押さえて確保する(例:犯人を捕らえる)

この動詞の語源には、「手を使って動くものを制御する・逃がさない」という動作が根底にあります。

つまり、「捕らわれる」とは何かにより、意図せずつかまり、自由を失う受け身の状態を示しているのです。

「捕らわれる」は物理的な拘束を表す

「捕らわれる」は、物理的に人や動物が拘束される状況でよく使われます。

以下のような具体例があります:

  • 警察に捕らわれる
  • 敵兵に捕らわれる
  • 動物が罠に捕らわれる

これらはすべて、「外部からの力」によって身体の自由を奪われるという共通点があります。

また、「身動きが取れない」「逃げられない」などの強制的な制限を伴う状況を表します。

英語表現での類例:

  • be captured(捕らえられる)
  • be arrested(逮捕される)
  • be apprehended(身柄を拘束される)

👉 ポイント:この「捕らわれる」は主に「実際に拘束される物理的な状況」に焦点を当てた言葉です。

「捕らわれる」を使った例文

「捕らわれる」は以下のような文脈で使われます。

文章に自然なリアリティや緊迫感を与える表現です。

  • 脱走を試みたが、すぐに警備員に捕らわれた。
  • 彼は反乱軍に捕らわれ、数日間監禁された。
  • 密猟者に捕らわれた動物たちは、保護施設に移された。

👉 英訳例:

  • He was captured by the guards after attempting to escape.
  • She was taken prisoner by the rebel forces.

⚠️ 注意点:「捉われる」「囚われる」と混同しないようにしましょう。感情や考えに束縛される意味では使いません。

「捕らわれる」のよくある誤用と注意点

「捕らわれる」は物理的な拘束に限って使うべきで、心理的な拘束(=捉われる)や比喩的な束縛(=囚われる)には適しません。

❌よくある誤用:

  • × 過去の失敗に捕らわれて前に進めない
    → ✅「捉われて」が正解(心理的な束縛)
  • × 愛情に捕らわれて冷静さを失った
    → ✅「囚われて」が正解(感情的な支配)

✅使い分けのコツ:

  • 捕らわれる:物理的に誰かにつかまる(人・動物・犯人)
  • 捉われる:考えや価値観に縛られる(過去・偏見)
  • 囚われる:感情に支配される(恐怖・欲望・怒り)

このように、意味の境界線を意識することで、文章の誤解を防ぎ、より説得力のある表現が可能になります。

「捉われる」の意味と使い方

「捉われる」は、心理的・概念的に制限される、または縛られる状態を指す言葉です。

思考や価値観、感情に縛られているときに使われます。

現実的な「捕まる」という意味ではなく、内面的・抽象的な拘束を表すのが特徴です。

ビジネスや教育、自己啓発の分野でも頻出する表現であり、正確な理解が必要です。

「捉える」との関係と意味

「捉われる」は、動詞「捉える」の受け身形です。

「捉える」は以下のような意味を持っています:

  • 物事の本質や要点を理解する(例:本質を捉える)
  • 感情や考えにとらわれる(例:不安に捉えられる)

つまり「捉える」は視点や認識、精神的なつかみを表し、「捉われる」はその逆で「思考や感情に支配され、動きが制限される」状態です。

英語比較:

  • be fixated on(ある考えや感情に強く囚われる)
  • be obsessed with(~に取り憑かれる、過剰にこだわる)

このように、英語でも「mental captivity」のようなニュアンスが含まれることから、「捉われる」は内面の制約やこだわりに焦点を当てた言葉であることがわかります。

「捉われる」は心理的な束縛を表す

「捉われる」が使われる場面は、次のような内面の状態に焦点を当てた文脈です。

よく使われる文脈:

  • 固定観念に捉われる
  • 過去の失敗に捉われる
  • プライドに捉われてしまう

これらは、物理的に「拘束されている」わけではなく、思考や信念、感情が行動を制限している状況です。

使用場面:

  • 自己啓発の文章
  • カウンセリングや心理学関連
  • ビジネスにおける柔軟な思考の促し

👉 ポイント:「捉われる」は、自分の内側で起きている葛藤や制限を言語化するための、非常に繊細な表現です。

「捉われる」を使った例文

「捉われる」は、以下のような日常的または抽象的な文脈で用いられます。

  • 彼は常に他人の目に捉われて行動している。
  • 過去の失敗に捉われて、新しい挑戦を恐れている。
  • 常識に捉われず、自由な発想を持つことが重要だ。

👉 英訳例

  • He is too fixated on how others see him.
  • She is trapped by her fear of failure.
  • Don’t be bound by conventional thinking.

これらの表現から、「捉われる」がどれほど心理的・観念的な状況に強く関わっているかが明確です。

「捉われる」の誤用・間違いやすい文脈

「捉われる」は心理・精神的な制約を表しますが、「捕まる」「逮捕される」といった物理的意味では使えません。

誤用すると、文意がぼやけてしまいます。

❌間違いやすい使い方:

  • × 犯人が警察に捉われた → ✅「捕らわれた」が正解
  • × 武装勢力に捉われた → ✅「捕らわれた」または「囚われた」

✅適切な文脈:

  • 固定観念に捉われる
  • ルールに捉われた考え方
  • 不安に捉われて決断ができない

また、「囚われる」との違いも混同されがちですが、次のように整理できます:

表現 拘束の種類 典型的な文脈例
捕らわれる 物理的拘束 犯人が捕らわれた
捉われる 思考・観念の拘束 常識に捉われた発想
囚われる 感情・内面の拘束 恐怖に囚われて動けなかった

「囚われる」の意味と使い方

「囚われる」は、感情や思考に圧倒されて自由を失っている状態を意味します。

読み方は「とらわれる」で、「捕らわれる」や「捉われる」と同音ですが、より精神的・象徴的な拘束を表現する場面で使われます。

感情や過去、恐れ、愛情などに支配されて動けなくなるような文脈で多く見られる語です。

「囚」の漢字の意味から理解する

「囚」という漢字は、「人」という文字が「囲」の中に閉じ込められている形から成り立ちます。

この形からもわかるように、「囚」はもともと牢に閉じ込められた人、囚人を意味します。

つまり、「囚われる」とは:

  • 外的に囲まれて自由を奪われている
  • その状態が「精神的・比喩的」にも及ぶ

というように、単なる捕縛よりも“支配される”というニュアンスが強調される言葉です。

また、「囚」という漢字は、言葉の中でもネガティブな感情・束縛・閉塞感を象徴する場合に使われます。

「囚われる」は比喩的・感情的な拘束に使われる

「囚われる」は、感情や観念が強く心を支配し、それによって行動や思考が制限されているような精神的な拘束を表します。

よくある使用例:

  • 恐怖に囚われて身動きが取れなかった
  • 過去の恋に囚われ、新しい関係を築けない
  • 嫉妬心に囚われて冷静な判断を失う

これらの表現からわかるように、「囚われる」は単なる固定観念以上に、深く感情に沈んだ状態や支配されている心理状態を指します。

類似の英語表現:

  • be overwhelmed by (fear/emotion)
  • be consumed with (jealousy/regret)
  • be emotionally imprisoned

👉 特徴:他の「とらわれる」よりも、苦しみ・痛み・切なさといった情緒的要素が強く出る言葉です。

「囚われる」を使った例文

実際の文例を見ると、「囚われる」の持つ感情的な深みが際立ちます。

  • 彼は過去の過ちに囚われ、自分を責め続けていた。
  • 失恋の痛みに囚われて、何も手につかなくなった。
  • 権力欲に囚われて、本来の信念を見失ってしまった。

👉 英訳例

  • He was trapped in the regret of his past mistakes.
  • She was emotionally imprisoned by her heartbreak.
  • His obsession with power left him blinded to his true values.

このように、「囚われる」は内面の葛藤や抑えきれない情動の象徴として使われることが多く、表現力のある言葉です。

「囚われる」の誤用を防ぐポイント

「囚われる」は精神的・感情的な拘束に限定されるため、「物理的拘束」や「単なる思考制限」に対して使うと違和感が生じます。

❌よくある誤用例:

  • × 犯人が囚われた → ✅「捕らわれた」または「拘束された」
  • × 思考に囚われた → ✅「捉われた」のほうが自然

✅使い分けポイント表:

表現 主な用途 誤用を避けるためのヒント
捕らわれる 物理的拘束 人・動物・犯人が捕まる時に使用
捉われる 思考・観念の拘束 固定観念・プライド・過去の考え方に使用
囚われる 感情・精神的な拘束 恐れ・悲しみ・欲望など強い感情に使用

また、文章のトーンによっても選ぶべき表現が変わります。

小説や詩的表現では「囚われる」を使うことで、深く繊細な印象を与えることができます。

違いをさらに深掘り!意味・使い方の比較表

ここでは、「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」の3語の違いを一目でわかる比較表で整理し、さらに具体的な判断ポイントを紹介します。

見た目では違いが明確でも、使い分けに迷うことがあるため、ニュアンスの違いと適切な使用場面を視覚的に理解することが大切です。

意味・用法・例文を一目で比較

以下は3語の違いを視覚的に整理した比較表です。

意味・特徴・典型的な使い方を並べることで、迷った時の判断材料になります。

項目 捕らわれる 捉われる 囚われる
読み方 とらわれる とらわれる とらわれる
漢字の意味 捕まえる(物理的に押さえる) 物事をつかむ・理解する 囚人、囲われた人(精神的に閉じ込める)
用途の分類 物理的拘束 思考・観念による拘束 感情・精神的な支配
主な場面 犯人・動物が捕まる 固定観念・ルール・過去の考えに縛られる 恐怖・悲しみ・愛・嫉妬などに支配される
間違いやすい点 感情的拘束に使うと不自然 物理的拘束に使うと誤用 思考的制限に使うと違和感
例文 犯人が警察に捕らわれた 常識に捉われた考え方 怒りに囚われて冷静さを失った
英語例 be captured / arrested be fixated on / obsessed with be emotionally imprisoned / consumed by

📌 この表は、意味の違いを素早く確認したいときに非常に便利です。
SNSやビジネス文書、文章添削時にも重宝するでしょう。

どの漢字を使うべきか判断するコツ

どの「とらわれる」を使えばよいか迷ったときは、次の3つの質問を自分に投げかけることで、判断がしやすくなります。

✅ 判断のためのチェックリスト

  1. それは実際に体が拘束されている状況か?
    • → YES → 「捕らわれる」
  2. それは頭の中での考え・常識・価値観の縛りか?
    • → YES → 「捉われる」
  3. それは感情的な支配・心の圧迫感か?
    • → YES → 「囚われる」

🔍 間違いやすい例と正しい使い分け

  • ❌「恐怖に捕らわれて逃げられなかった」
    → ✅「囚われて」
  • ❌「プライドに囚われた発言だった」
    → ✅「捉われた」
  • ❌「敵兵に捉われた」
    → ✅「捕らわれた」

このように、「誰(何)が、どのように自由を失っているのか?」を具体的に考えると、適切な漢字が自然と見えてきます。

文章の質を高めるうえで、微妙な表現の選択は非常に重要です。

類語・関連語とその違い

「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」は、それぞれ異なる意味を持っていますが、類義語・関連語も多く存在します。

ここでは、似て非なる表現との違いを解説し、より適切で伝わる日本語表現を選ぶヒントを紹介します。

誤用や混同を避けるためにも、正確な理解が重要です。

「縛られる」「拘束される」との違い

「縛られる」:

物理的な紐や縄などで動きを制限される意味が基本ですが、比喩的に「ルールや約束、感情」などで自由が効かない状況でも使われます。

  • ✅例:常識に縛られた考え方/時間に縛られる生活

「拘束される」:

もっとも形式的・法的な響きを持つ言葉で、物理的・精神的どちらにも使えますが、公的機関(警察・法律)に関連する場面が多いです。

  • ✅例:警察に拘束された/自由を拘束される契約

違いのまとめ:

表現 主な意味 用途例
捕らわれる 実際に人が捕まる 犯人・動物など
縛られる 拘束され自由を失う 感情・時間・常識などに縛られる
拘束される 法的・物理的に身動きが取れない 拘束時間/拘束力/拘束される命令

👉 「捕らわれる」とは異なり、「縛られる」はより抽象的・比喩的な用途が広いのが特徴です。

「束縛される」「制限される」との違い

「束縛される」:

主に恋愛や人間関係において、「相手の自由を奪う・コントロールする」というニュアンスで使われます。

感情的ですが、他者からの支配が主眼です。

  • ✅例:恋人に束縛される/親の期待に束縛されていた

「制限される」:

中立的な表現で、感情を伴わず客観的・制度的な制約に対して使われます。

  • ✅例:アクセスが制限される/時間が制限されている

違いのまとめ:

表現 主な使い方 感情の有無 例文
囚われる 感情に支配される 強くある 嫉妬心に囚われて冷静さを失った
束縛される 他人から強く縛られる 中~強 彼女に束縛されて自由がなかった
制限される 条件・規則による制約 ほぼなし 利用時間が制限されている

👉 「囚われる」は内面から、「束縛される」は対人関係から、「制限される」は制度的・環境的な制約という違いがあります。

「執着する」「固執する」との違い

この2語は、「捉われる」「囚われる」に近い意味を持ちますが、能動的なニュアンスが強くなります。

「執着する」:

物事や人に心を奪われ、そこから離れられない心理状態。感情的・恋愛的な場面にも使われます。

  • ✅例:元恋人に執着する/結果に執着しすぎて判断を誤る

「固執する」:

自分の考えや意見を頑なに変えない様子。ややネガティブで論理的な印象があります。

  • ✅例:古いやり方に固執する/意見に固執して対立を生む

違いのまとめ:

表現 意味・特徴 行動の方向性 例文
捉われる 思考・価値観に縛られる 受動的 常識に捉われた発想
執着する 感情的に離れられない 能動的 元恋人に執着している
固執する 論理・主張にこだわる 能動的 自分の意見に固執し議論が進まない

👉 「捉われる」は“無意識に縛られている”のに対し、「執着する」「固執する」は“自分から離れられない・変えない”という意志が表れます。

実際の文章での使い分け例

言葉の意味を理解しただけでは、実際に使い分けられるとは限りません。

ここでは、具体的な文章例(ビジネス・日常会話・SNSなど)における適切な使い方を紹介します。

文脈に応じて「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」を正しく使うことで、表現力と説得力が格段に向上します。

ビジネス文書での正しい用法

ビジネスでは、「論理性・柔軟性・冷静さ」が重視されるため、「捉われる」や「囚われる」を的確に使えるかが文章の質に大きく関わります。

使い分け例:

  • 捉われる
    旧来の価値観に捉われた戦略では、現代の市場には通用しません。
    (思考の硬直)
  • 囚われる
    数字に囚われるあまり、顧客視点が欠落しています。
    (感情・プレッシャーによる支配)
  • 捕らわれる
    当局に捕らわれた社員がメディアで報じられた。
    (物理的な拘束。稀なビジネス用例)

ポイント:

  • 会議資料や提案書では、「捉われる」「囚われる」が頻出
  • 「捕らわれる」はニュースや事故報告など特殊な場面に限定される

👉 論理や感情の偏りを批判・指摘する文脈では、漢字の選び方が読者の印象を左右します。

日常会話・小説・SNSでの使い方

日常表現や創作文章では、3語の使い分けによってニュアンスが大きく変化します。

特に「囚われる」は情緒的な描写に優れ、小説や詩的な表現によく使われます。

日常会話の例:

  • 捉われる
    なんか気にしすぎて、過去のことにずっと捉われてる気がする。
  • 囚われる
    彼女にフラれてから、悲しみに囚われてるみたい…。
  • 捕らわれる
    (※物理的意味なので、日常会話での使用は稀)

小説・SNS表現の例:

  • 囚われる
    > 彼は、過去の後悔に囚われたまま、光を求めることを忘れていた。
  • 捉われる
    > 型にはまった発想に捉われるのは、想像力の敵だ。

誤用例(SNSでありがち):

  • ❌「嫉妬に捉われた夜」
    → ✅「囚われた夜」(感情なので「囚」)
  • ❌「偏見に囚われた発言」
    → ✅「捉われた発言」(観念なので「捉」)

👉 「感情なら囚」「考えなら捉」「現実なら捕」と覚えると、日常的な使い分けで迷いません。

よくある質問(Q&A形式)

ここでは、「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」の使い分けに関して、検索ユーザーがよく抱く疑問や誤解をQ&A形式でわかりやすく解消していきます。

混同しやすい表現、関連語との違い、文章での迷いやすいポイントを丁寧に整理します。

「囚われる」と「捉われる」のどちらが感情的?

✅ 答え:感情的なのは「囚われる」です。

  • 「囚われる」は、恐怖・怒り・悲しみ・執着といった情動に支配された状態を意味します。
  • 一方「捉われる」は、固定観念・先入観・論理的制限など、思考の制約を表します。

例文比較:

  • 「過去の失恋に囚われて、誰とも付き合えない」
    → 感情に飲み込まれている状態(情緒的)
  • 「男性だから強くあるべきという考えに捉われている」
    → 思考の偏り・固定観念に縛られている状態

👉 判断基準:心で苦しんでいる=囚、頭で凝り固まっている=捉。

「捕らえる」と「捉える」の違いも知りたい!

答え:「捕らえる」は物理的、「捉える」は心理・概念的です。

「捕らえる」:

  • 物理的に捕まえる
  • 犯人・動物などが対象
  • 英語:catch, capture, seize

「捉える」:

  • 本質や考えを理解・解釈する
  • 抽象的な対象が多い
  • 英語:grasp, perceive, understand

例文比較:

  • 犯人を捕らえる → 実際に拘束する(物理)
  • 問題の本質を捉える → 意味や構造を理解する(心理)

👉 「とらえる」の意味が変わることで、「とらわれる」の意味も変化することを意識しましょう。

「囚人」と「捕虜」は「捕らわれる」の例?

答え:基本的には「捕らわれる」の文脈が近いです。

「囚人」:

  • 刑務所にいる人。法律上の拘束状態
  • 日本語では「囚われた者」というニュアンスが込められている

「捕虜」:

  • 戦争・紛争で敵に捕まった兵士など
  • 「捕らわれた兵士」という意味で、明確に物理的拘束を受けている

➡︎ どちらも「捕らわれた結果の身分・状態」なので、「捕らわれる」が語源的には最適です。
ただし、「囚われる」の“精神的な苦しみ”を強調したい場合には、文学作品などであえて「囚」を用いることもあります。

用例:

  • 捕虜として捕らわれた兵士が解放された。
  • 罪を償う囚人の心は、過去に囚われていた。

👉 状態を客観的に述べるなら「捕」/内面や情緒を描写するなら「囚」も検討可。

まとめ:「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」の違いを正しく理解

「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」は、すべて「とらわれる」と読む同音異義語ですが、意味・使い方・ニュアンスは大きく異なります。

本記事では、それぞれの語の特徴・語源・用法・例文・誤用・類語比較・実用シーンに至るまで、徹底的に解説しました。

改めて3語の違いを簡潔にまとめると:

  • 捕らわれる:犯人や動物など、物理的に拘束されるときに使う
  • 捉われる:先入観・常識・考えなど、思考の枠に縛られるときに使う
  • 囚われる:恐怖・悲しみ・欲望など、感情に支配されるときに使う

文章での選び方に迷ったときは…

✅ 判断のヒント:

  • 「つかまった」なら → 捕らわれる
  • 「考えにこだわっている」なら → 捉われる
  • 「心が苦しんでいる」なら → 囚われる

最後に

言葉は単なる情報の伝達手段ではなく、相手の理解や感情に働きかけるツールです。

とくに漢字の選択には、話し手・書き手の意図が色濃く表れます。

だからこそ、たった一文字の違いでも、「伝わる」文章か「誤解される」文章かが変わります。

今回学んだ3語の使い分けをぜひ活用し、誤用のない、豊かな日本語表現を目指してください。

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