60代の一人暮らし費用と生活費の実態!年金・持ち家・賃貸別シミュレーション

「定年後の一人暮らし、年金だけで生活できるの?」「60代からの生活費はどう変わる?」「持ち家と賃貸でどれだけ違う?」

60代の一人暮らしは、若い世代と異なり収入の柱が「就労収入→年金」に切り替わる人生の大転換期です。

この記事では総務省の最新家計調査データをもとに、60代単身世帯の生活費の実態・年金との収支ギャップ・持ち家vs賃貸の比較・想定外の出費まで、親世代も子世代も参考になる情報をまとめました。

📋 この記事でわかること

💰 60代単身世帯の月の生活費の平均と内訳(総務省2024年データ)

📅 60代前半(60〜64歳)と後半(65歳〜)で収支が大きく変わる理由

📊 年金収入と生活費の「毎月の収支ギャップ」と20年累積の不足額

🏠 持ち家vs賃貸で生活費がいくら変わるか

⚠️ 60代特有の「想定外の出費」4選(医療・介護・住宅修繕・終活)

✂️ 今からできる生活費を抑える5つの方法

60代一人暮らしの月の生活費は約15万円(総務省データ)

60歳以上・単身世帯の月間消費支出(総務省 家計調査2024年)
月 約149,000円
非消費支出(税・社会保険料)約13,000円を加えると月の総支出は約162,000円

60歳以上の単身世帯の生活費は、現役世代(35〜59歳:月約18〜21万円)より低めですが、医療費・保険料など60代特有の支出が増加しています。内訳を詳しく見てみましょう。

生活費の内訳(食費・住居・医療費・交際費など)

🍚 食費
食費
約40,100円
🏠 住居費
約13,000円※
💡 光熱・水道費
光熱
約18,000円
🏥 保健・医療費
医療
約14,700円
🚃 交通・通信費
交通
約17,000円
🎭 教養・娯楽費
娯楽
約14,800円
👥 交際費・その他
その他
約31,400円

※住居費は持ち家世帯が多いため全体平均は低め。賃貸の場合は5〜8万円程度かかる。出典:総務省「家計調査報告(家計収支編)2024年」をもとに作成

若い世代との比較:60代特有の支出パターン

費目 35〜59歳の平均 60歳以上の平均 変化の特徴
🍚 食費 約44,700円 約40,100円 ▼ やや減少。外食より自炊が増える
👕 衣服・日用品 約15,000円 約10,000円 ▼ 減少。仕事用の衣服代が不要に
🏥 保健・医療費 約8,000円 約14,700円 ▲ 大幅増加。通院・薬代・検診など
🎭 教養・娯楽費 約18,000円 約14,800円 ▼ やや減少。趣味の質が変化
👥 交際費 約11,000円 約17,000円 ▲ 増加。香典・お見舞い・慶弔費など
🏠 住居費(持ち家の場合) 約20,000円 約13,000円 ▼ 減少(多くは住宅ローン完済済み)

⚠️ 60代から増える出費の特徴:保健医療費が現役世代の約2倍に増加するのが60代の大きな特徴です。
また、友人・知人の葬儀参列や入院お見舞いなど慶弔関連の支出が急増します。
「生活費が下がる」と思っていると、これらの支出に驚くケースが多いです。

60代の収入の実態:年金・就労・貯蓄取り崩し

年金受給額の平均(厚生年金・国民年金の違い)

年金の種類 月額平均 対象者 特徴
💼 老齢厚生年金(老齢基礎年金含む) 約145,000円 会社員・公務員(一般) 現役時の給与・加入年数で大きく変動
💴 老齢基礎年金(国民年金のみ) 約56,000〜67,000円 自営業・フリーランス・専業主婦等 満額は月67,000円。40年間の納付が条件
⚠️ 女性の厚生年金 約105,000円 会社員の女性(平均) 男性(約167,000円)より低め。育児休業期間が影響

出典:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに作成

60代前半(60〜64歳)と後半(65歳〜)で収支が大きく変わる

📅 60代前半(60〜64歳)のフェーズ

💡 このフェーズの特徴:まだ就労収入がある人が多い

就労収入(嘱託・パート等)約8〜15万円
年金収入(60〜64歳は満額でない)約0〜7万円
退職金・貯蓄取り崩し必要に応じて
月収入の目安約12〜20万円

定年延長・再雇用・嘱託契約が主な収入源。就労収入があるうちに老後資金の積み増しを。

📅 60代後半(65歳〜)のフェーズ

⚠️ このフェーズの特徴:年金中心の生活に移行

老齢厚生年金(平均・会社員)約14.5万円
就労収入(働いている場合)0〜数万円
貯蓄の取り崩し毎月必要な場合が多い
月収入の目安(年金のみ)約10〜15万円

65歳から公的年金が本格受給開始。しかし生活費(約16万円)を下回るケースが多い。

「年金だけでは毎月赤字」の衝撃:収支シミュレーション

持ち家ありvs賃貸で生活費がいくら変わるか

🏠 持ち家あり・65歳以上のケース

📥 月収入

老齢厚生年金(平均)145,000円
月収入合計145,000円

📤 月支出

食費40,000円
住居費(管理費・修繕積立等)15,000円
光熱・水道費18,000円
保健・医療費15,000円
交通・通信費15,000円
教養・娯楽・交際費30,000円
税・社会保険料(非消費支出)13,000円
月支出合計146,000円
月収支 ▲約1,000円 △ほぼトントン(持ち家の強み)
🏢 賃貸・65歳以上のケース

📥 月収入

老齢厚生年金(平均)145,000円
月収入合計145,000円

📤 月支出

食費40,000円
家賃(地方都市・1K)55,000円
光熱・水道費18,000円
保健・医療費15,000円
交通・通信費15,000円
教養・娯楽・交際費20,000円
税・社会保険料(非消費支出)13,000円
月支出合計176,000円
月収支 ▲約31,000円の赤字 ❌毎月貯蓄を取り崩す

国民年金のみの方は更に厳しい:自営業・フリーランスの方が受け取る老齢基礎年金は月額約56,000〜67,000円です。
持ち家があっても月8〜9万円の赤字、賃貸の場合は月11〜12万円の赤字になる計算です。
この場合は就労継続・個人年金保険・iDeCo・貯蓄の積み増しが必須となります。

毎月の赤字を20年間放置すると老後資金はいくら不足するか

📉 賃貸・厚生年金のケース(月▲3.1万円の赤字)が続くと…
5年後(70歳)
約186万円
不足累計
10年後(75歳)
約372万円
不足累計
15年後(80歳)
約558万円
不足累計
20年後(85歳)
約744万円
不足累計

※月3.1万円×12ヶ月×年数で試算。物価変動・医療費増加・介護費用は含まない。実際にはさらに多くなる可能性があります。

「老後2,000万円問題」との関係:2019年に金融庁が試算した「老後に2,000万円が不足する」という試算は、夫婦2人・持ち家・老齢厚生年金受給のケースで月約5.5万円の赤字×30年という前提でした。
賃貸一人暮らし・国民年金のみのケースではさらに大きな金額が必要になります。

60代一人暮らし特有の「想定外の出費」4選

想定外の出費① 医療費・薬代の急増

60代になると複数の疾患を抱える人が増え、定期通院・服薬が日常的になります。健康保険の自己負担は3割(70歳未満)で、高額な治療になると「高額療養費制度」で上限が設けられますが、それでも年間数十万円の医療費がかかるケースがあります。

📋 年間の医療費目安:約15〜30万円(持病の種類・数で大きく変動)

💊 薬代:慢性疾患(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)は月5,000〜15,000円/種類

🦷 歯科治療:インプラント・入れ歯など高額な歯科治療が増える時期

 

想定外の出費② 介護費用(自分の・親の両方)

60代は「自分の親(80〜90代)」の介護費用が発生し始める時期でもあります。在宅介護でも月3〜8万円、施設入居だと月15〜35万円が必要になることがあり、子としてサポートする立場になる可能性も考慮が必要です。

🏥 在宅介護サービス(介護保険1割負担):月3,000〜30,000円

🏢 特別養護老人ホーム(特養):月5〜13万円程度

🏢 有料老人ホーム(民間):入居一時金0〜数百万円+月12〜25万円

👨‍👩‍👧 親の介護費用の一部負担:兄弟間で分担するケースも多い

 

想定外の出費② 介護費用(自分の・親の両方)

60代は「自分の親(80〜90代)」の介護費用が発生し始める時期でもあります。在宅介護でも月3〜8万円、施設入居だと月15〜35万円が必要になることがあり、子としてサポートする立場になる可能性も考慮が必要です。

🏥 在宅介護サービス(介護保険1割負担):月3,000〜30,000円

🏢 特別養護老人ホーム(特養):月5〜13万円程度

🏢 有料老人ホーム(民間):入居一時金0〜数百万円+月12〜25万円

👨‍👩‍👧 親の介護費用の一部負担:兄弟間で分担するケースも多い

 

    想定外の出費③ 住宅リフォーム・修繕費(持ち家の場合)

    住宅ローンを完済して「住居費ゼロ」と思っていると、築20〜30年のタイミングで大規模修繕が発生します。持ち家の方は修繕費を別途積み立てておく必要があります。

    🚿 給湯器交換:10〜20万円(寿命10〜15年)

    🪟 外壁塗装・屋根修繕:80〜150万円(15〜20年に1回)

    🚿 水回り(キッチン・風呂・トイレ)のリフォーム:50〜200万円

    ♿ バリアフリー改修(手すり・段差解消):10〜50万円

     

    想定外の出費④ 終活費用(葬儀・相続・お墓)

    60代になると「終活」を意識し始める方も増えます。自分のための費用だけでなく、親の葬儀・相続手続きでまとまった支出が発生することがあります。

    ⚰️ 葬儀費用(平均):約130〜150万円(家族葬:30〜70万円)

    🪨 お墓・納骨堂:30〜200万円(樹木葬・散骨は安価)

    📋 遺言書・相続手続き(弁護士・司法書士報酬):10〜50万円

    🏥 親の葬儀での出費:平均100〜150万円(兄弟で負担する場合も)

    今からできる!60代一人暮らしの生活費を抑える5つの方法

    固定費(通信費・保険料)を一気に見直す

    定年後は支出パターンが変わるため、現役時代に加入したサービス・保険を見直す絶好のタイミングです。

    📱 スマホを格安SIMに変更:月2,000〜4,000円に削減(年間最大4〜6万円節約)

    🛡️ 生命保険の見直し:死亡保障より医療・介護保障に切り替える

    📺 NHK受信料・サブスク・有料チャンネルの整理

    🚗 車の維持費(保険・車検・駐車場代):必要性を再検討。カーシェアへ移行も

    医療費を抑える制度を活用する

    医療費は60代の支出の中でコントロールしにくい費目ですが、制度を使えば自己負担を減らせます。

    💊 高額療養費制度:同月内の医療費が一定額を超えると払い戻しがある

    🏥 ジェネリック医薬品(後発品)を選ぶ:薬代が最大半額程度になる

    📋 医療費控除:年間10万円超の医療費は確定申告で還付を受けられる

    🩺 定期検診・健康管理:早期発見で重症化を防ぎ、長期的な医療費を削減

    食費は「質を落とさず量を適正化」する

    60代の食費削減は「安いものを買う」より「適正量・適正価格」が基本です。健康を維持するために食の質を下げすぎることは本末転倒です。

    🛒 スーパーの閉店前の割引品・特売日を活用(ただし買いすぎに注意)

    🍱 外食を週1〜2回に絞り、残りは自炊。外食は食事の「質」を楽しむ機会に

    🥦 旬の食材を選ぶ:栄養価が高く安価。冷凍保存を活用して食品ロスを防ぐ

    👨‍🍳 料理の基本を見直す:だし・調味料の使い方を工夫して外食に頼らない味を作る

    シニア向けの割引・優待制度を使い切る

    60代以降はシニア向けの様々な割引・優待制度が使えるようになります。使わないと損です。

    制度・サービス 対象年齢 内容
    🚃 大人の休日倶楽部(JR東日本) 55歳以上(女性)60歳以上(男性) JR東日本・北海道の運賃5%割引、キャンペーン期間は30%引き
    🎬 映画館のシニア割引 60歳以上 通常1,900円→1,200〜1,300円。年会費なし
    🏥 高額療養費の限度額(低所得者区分) 70歳未満・住民税非課税 医療費の自己負担上限が下がる
    🌸 各自治体のシニア向けサービス 65歳以上(自治体による) バス・地下鉄の割引・無料パス、施設利用料の減額
    65歳以降も「ゆるく働く」ことで収支を改善する
    「完全引退」ではなく、週2〜3日・月3〜5万円稼ぐことで生活費の赤字を大幅に圧縮できます。60代の就労は経済的メリットだけでなく、社会とのつながり・認知機能の維持・健康維持にも大きな効果があります。
    月5万円の就労収入があると:賃貸・厚生年金ケースの月▲3.1万円の赤字が月+1.9万円の黒字に転換。20年間の不足額(約744万円)がゼロになる。体力・スキルに合った形での就労継続を強くおすすめします。

    賃貸で暮らす60代が知っておくべき注意点

    注意点 内容 対策
    🔑 高齢者は賃貸を借りにくくなる 70代以降、賃貸契約の審査が通りにくくなることがある。孤独死リスクを嫌がる家主が多い 60代のうちに長期で住める物件を確保する。UR賃貸・公営住宅・高齢者向け優良賃貸住宅を検討
    💸 家賃は固定費で削れない 年金収入が減ると家賃の比率が上がり家計を圧迫する 60代で住み替えを検討するなら早めに決断。収入の25%以内に家賃を抑える
    🏢 UR賃貸・公営住宅を検討する 礼金なし・更新料なし・仲介手数料なし。高齢者が借りやすく低家賃 地域の公営住宅の募集情報を確認。UR賃貸は全国に約70万戸。待機期間がある場合も
    ♿ バリアフリー対応の物件を選ぶ 将来の身体機能の変化を見越した物件選びが重要 段差なし・手すり付き・エレベーターあり・1階または低層階を優先

    まとめ|60代一人暮らしの家計チェックリスト

    💰 60代一人暮らしの生活費まとめ

    • 月の生活費(消費支出)の平均:約14.9万円(税・社会保険料含めると約16.2万円)
    • 厚生年金受給者(平均)の収入:約14.5万円 → 毎月約1.7万円の赤字
    • 賃貸の場合:毎月約3万円以上の赤字になるケースが多い
    • 国民年金のみの場合:月8〜12万円の赤字になることも

    ⚠️ 60代特有の「想定外の出費」4選

    1. 医療費・薬代の増加(年間15〜30万円)
    2. 介護費用(自分の・親の両方)
    3. 住宅リフォーム・修繕費(持ち家の場合)
    4. 終活費用(葬儀・お墓・相続手続き)

    今すぐできる対策チェックリスト

    • ☐ スマホを格安SIMに変更(年間4〜6万円節約)
    • ☐ 生命保険の見直し(死亡保障→医療・介護保障へ)
    • ☐ ジェネリック医薬品に切り替える
    • ☐ 医療費控除を確定申告で申請する
    • ☐ シニア割引(JR・映画館・自治体サービス)を活用する
    • ☐ 週2〜3日のゆるい就労を検討する
    • ☐ 賃貸の方はUR賃貸・公営住宅の情報を調べる

    60代の一人暮らしで最も重要なのは「年金収入と生活費のギャップを早めに把握し、具体的な対策を取ること」です。
    60代前半のうちに就労収入で老後資金を積み増し、固定費を見直すことで、65歳以降の年金生活をより安心して迎えることができます。

    💡 お金の悩みは専門家へ相談を:老後の生活設計は個人差が大きく、年金額・貯蓄・持ち家の有無・健康状態によって大きく変わります。
    市区町村の「ファイナンシャルプランナー無料相談」や「生活設計相談」を活用することをおすすめします。
    また、年金の詳細は日本年金機構(ねんきんネット)で自分の受給見込み額を確認できます。

    出典:総務省「家計調査報告(家計収支編)2024年」/厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに作成。
    記事内の数値は平均・目安であり、個人の状況により異なります。

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